No.84

2015-06-30

有限会社村田屋

代表者
村田 正博
創業
1894年
業種
住宅設備機器販売
住所
神戸市長田区久保町3-7-7
電話
078-611-5256
大きい地図で見る

地域で生きる職人の魂

燃料革命
 1894年頃から代表取締役社長の村田正博さんの祖父・作治さんが現在地において、たらい・風呂桶・おひつ・はんぼうなどの製造を始めた。作治さんは有名な職人で、「作治」の焼印を押された桶は岡山や広島など遠方まで広域にわたって卸されていたという。その後、父・義一さんが事業を引き継ぎ、村田さんは61年から義一さんの下で修行を積み、木風呂製造のノウハウを学んだ。ちょうどその頃、ガス会社からの依頼で店内に風呂を設置し、ガスで簡単に沸かす実演をしたことがあった。「石炭や薪だった燃料が、近い将来ガスに変わることを実感した革命的な出来事だった」と村田さんは振り返る。

木風呂製造業から風呂ショップへ
 60年代後半になると、一般家庭に急速に風呂が普及し始めた。せっかく木風呂職人としての技術を身に付けたが、「値段が高い」「掃除の手間がかかる」「腐る」といった理由から、ポリ、ホーロー、ステンレス浴槽が販売の中心となっていった。村田さんは木風呂こだわることなく、時代のニーズに合わせて事業を柔軟に変化させていった。

 68年から73年は高度経済成長とともに公営住宅が建ち始めた頃。住宅の入居に当選した家族はその日のうちに下見し、その場で入居と同時に入浴できるように即注文した。当時は商品が飛ぶように売れ、あっという間になくなったという。

顧客からの信頼と事業を引き継ぐ
 長年同じ場所で事業を継続していると信頼が生まれる。「仕事が丁寧で信頼できる会社だと聞いた」と口コミで注文が入ると、「認められている」とやり甲斐を感じるという。

 「将来的にはリフォーム、不動産の仲介などに商売の幅を拡げたい」と夢を描く。後継者で息子の篤彦さんは一通りの仕事ができるようになり、宅地建物取引士の資格も取得した。今後は経営者としての業務を少しずつ任せていき、数年後には事業を完全に引き継ぎたいと考えている。職人の魂は受け継がれ地域で生き続ける。

(経営指導員 納田秀史)