No.65

2014-08-13

成駒(2015年閉店)

代表者
長手一男
創業
1953年
業種
飲食店(食堂)
住所
神戸市兵庫区本町2-3-26
電話
078-671-6563
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兵庫津で60年変わらぬ味と盛り付け

◆昭和の懐かしさを感じる下町の食堂
地下鉄海岸線「中央市場前駅」から北西に10分歩いたところに成駒はある。メニューは洋食を中心にカレー、丼、麺類まであり、人気の定食も営業時間中いつでも注文できる。店に入ると「昭和」の薫りが漂い、昔懐かしさを感じることができる。
同店は、現代表の長手一男さんの父・政夫さんが西宮の洋食店で修業を重ねた後、1953年に創業したのが始まり。店の周辺はかつて兵庫津と呼ばれ港町として栄え、昭和初期までビジネスの中心地であった。神戸市役所をはじめ、主要な都市銀行の支店や神戸穀物商品取引所もあり、多くのビジネスマンが昼夜を通して店を訪れ、開店から10年は多忙を極める毎日であった。

◆時代の流れに翻弄される
前途洋々であった成駒であるが、56年に新開地にあった神戸新聞社が三ノ宮駅南の神戸新聞会館に移転。翌年には市役所が現在地に移転するなど、神戸のビジネスの中心が次第に兵庫から三宮に移っていった。
現代表の長手さんが入店したのは62年、18歳の時。兵庫で働く人が徐々に減っていたが、まだまだ店は忙しく、両親に請われての入店であった。しかし、数年後には、企業に続き都市銀行の支店もなくなり、来店客はさらに減少していった。

◆変わらないという選択
長手さんが店を継いだのは75年。経営者となり、改めて店の将来を考えると店の移転や業態の変更も頭をよぎったという。迷った末に出した結論は、これまでのやり方を変えないということ。周辺の環境変化に踊らされず、顧客をこれまで通りのやり方でもてなす。近年では創業以来の変わらぬ味や盛り付けはかえって新鮮に感じられるようで、グルメサイトなどを見た人が遠方から訪れることもある。残念ながら後継者はいないため、この代限りの営業となる予定であるが、「ここ兵庫で、昔ながらの味と懐かしさを感じさせる空間を一日でも長く守っていきたい」と長手さんは語る。

(経営指導員 藤原康展)