No.89

2016-02-25

株式会社樽正本店

代表者
石川寛
創業
1930年
業種
農産加工品・水産加工品・畜産加工品製造販売
住所
神戸市灘区琵琶町3-2-1
電話
078-802-8089
ホームページ
http://www.tarumasahonten.com/
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仏の伝統製法による無添加ジャムづくりに挑戦

阿波たくあんの販売店がルーツ
 同社は、現社長 石川寛さんの祖父で徳島県出身だった亀吉さんが、当時全国一のたくわんの生産地だった徳島の「阿波たくあん」を販売するため、1930年に神戸に店を構えたのがはじまり。
 その後、灘五郷の酒粕を利用し、試行錯誤を重ねて奈良漬の製造・販売に着手した。高度成長期から70年代まで、奈良漬は中元・歳暮の高級贈答品として人気を博し、同社の主力商品となった。また、漬物の加工技術を活かして、いかなごのくぎ煮など佃煮の製造も手掛け、取扱商品を充実させていった。

無添加ジャムづくりへの挑戦
 ジャムづくりに挑戦したのは75年。2代目社長の石川徹さん(現顧問)が開発に着手したが、思うようにいかず試行錯誤の日々が続いた。その頃、原料の仕入れを兼ねて訪問したフランスで、果物の性質を最大限に活かした伝統製法による無添加のジャムと出会った。これだと思った徹さんはそのレストランのオーナーシェフを日本に招き、約1ヵ月間技術指導を受けた。
 ジャムやコンポート(果物のシロップ煮)の製造は順調に推移し、灘区に工場兼店舗を新設。操業を開始し、これからという時に阪神・淡路大震災に見舞われ、工場と店舗は全壊し大きな被害を受けた。

手間暇かける伝統の技の追求
 徹さんは悲嘆に暮れることなく、一早く近くの神戸松蔭女子大学会館内に事業所を移転。長男の寛さんを社長とする新会社(㈱樽正本店)を95年に設立し、事業を再開した。
 現在ジャムやコンポートは同社の主力商品に成長している。また最近では、中世ヨーロッパの貴族の間で果物の宝石と呼ばれ重宝されていた「リアルジェリー」をよみがえらせた。果汁と砂糖のみを使用した伝統製法で、琥珀色やルビー色のゼリーを再現している。「効率は悪いかもしれないが伝統技術は一切省略しない」と寛さん。「本物」を追求する樽正本店の挑戦はまだまだ始まったばかりである。

(経営指導員 山﨑栄治)