No.34

2012-12-25

平岡住設工業

代表者
平岡文男
創業
1977年
業種
空調設備・給排水設備工事
住所
神戸市兵庫区矢部町12-9
電話
078-341-5875
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きれいで丁寧な職人の仕事

神戸市兵庫区を東西に走る街道沿いに事務所を構える平岡住設工業。
代表の文男氏が同事業所を開業したのは今から約35年前である。商業高校を卒業後、大手港湾関連会社に入社、9年間勤務していた。しかし、手に職を付け、定年を気にせず長く仕事を続けたい、自分で思う様に仕事をしてみたい、との想いから同社を退職。電気工事店で約三年の修行を積んだ後、現在の平岡住設工業を立ち上げた。独立後は、元勤務先や知り合いからの受注を丁寧にこなし、徐々に経営を軌道に乗せていった。

当初は電気工事の仕事を中心に請け負っていたが、時代と共に電気工事の仕事は減り、仕事振りを評価してくれる空調関連企業からの受注が増えてきた。現在は空調工事がメインとなってきている。平岡氏は「自分が請け負った仕事は、例えどんなに手間暇がかかってもやり抜く」という信念で仕事を行っている。時間と技術を要するため、同業者が敬遠する、設置が難しい場所へのエアコンの取付工事も絶対に諦めず、仕上げてくる。

また、自分の工事で不具合があった場合は、どんなに夜遅くても現場に駆けつけ、対応するという。いまどき珍しくなった勉強熱心な昔気質の職人である。それが故に、発注業者からの信頼も厚い。職人仲間の応援に対応することも多く、電気・水道工事ともに対応できるため、重宝されている。また、現場仕事だけでなく、見積り作成などが苦手な同業者の事務的サポートを行うなど、顧客だけでなく同業他社へも誠心誠意対応している。

しかし、不景気や時代の流れと共に工事業者の受注単価は下がる一方である。特に阪神大震災後、広域から同業他社が多く入ってきてからは、単価が大幅に下がってしまった。利益確保が難しくなると素人を沢山使い、安価で数を捌く業者が多くなるが、「信用が何より大事。どんな状況であってもきれいな仕事、丁寧な仕事をする」と平岡氏は信念を曲げず、安易に単価が安い仕事には手を出さない。
「プロが見たらわかる。真面目に誠心誠意仕事をやっていれば、必ずきれいな仕事をしていると評価される」と平岡氏は言う。現在、2人の子息も従事しているが、取引先からは「お父さんの仕事を見ているので、丁寧な仕事をする」と言われるそうだ。

平岡氏は根っからの職人タイプで、自分の仕事にこだわり持っている。業界では安価で平均的なクオリティーが求められる仕事が多い中、妥協せず良い仕事を丁寧に仕上げきる自身の技術と、仕事に真摯に打ち込む姿勢が同社の存在価値だと考えている。そのため、遊びは一切しない。「遊んでも何も得るものはありません。その時間があれば勉強に費やし、何か分からない事があればあらゆる所で調べ、自分の身に吸収していく。それが職人の仕事です」平岡氏は当たり前のことのように言う。
そんな真面目な性格が幸いし、同業他社が羽振り良く事業を拡大していたバブル期も、今のうちにお金を貯めておくべきだと判断。堅実に貯蓄し、バブル崩壊後も大きな落ち込みは無かった。

こんなエピソードがある。ある時、近隣の知人より、所有するキャンピングカーへのエアコン取付工事の相談が持ち込まれた。それまで依頼者は、いくつもの業者に工事を依頼したが、取付けが難しく、どこもできなかった。絶対に諦めない平岡氏は、試行錯誤の末、依頼者が望む形でエアコンの取付けを成功させる。依頼者は長年の夢が実現したため、大変喜び、大きな信頼を得たという。その後、この依頼者の人脈から、大口のマンション空調工事などの仕事も頼まれるようになったそうだ。

小さいながらも順調に経営を続けてきた様に見える同社だが、実は数多くの苦難を乗り越えてきている。約10年前には仕事の量が大幅に減り、借入金の返済に追われたことがあった。その時は顧客を巡り、どんな要望があるか真摯に聞いてまわり、仕事を探したという。ガスと電気の一体工事や内装工事の取り扱いを開始するなど、徹底的に顧客の要望に対応し、なんとかしのぎきった苦しい経験もある。また、仕事を完了させ、工事代金の請求をかけたらすでに倒産しており、売掛金を回収できなかったケースもあった。損失を取り返すには、何倍もの労力が必要となるため、情報収集を怠らないことも肝に銘じるようになった。

現在は2人の子息と一緒に事業を営んでいる。しかし、片道2時間以上かかる現場のケースもあり、エリアが広域なため手分けする必要がある。また、大手企業の行う工事では、年齢制限があり、平岡氏が現場に入れないケースもあるため、子息達が施工する事になる。そのため父子3人3様、その日その時々ごとに現場に入る形となるそうだ。平岡氏は「同じ現場はなく、その時々で仕事の段取りが異なる。大変な時もあるが、いろんな現場に行けるのは楽しい」と職人らしい笑顔を見せる。

平岡氏の夢はこれで終わりでは無く、次の展開も考えている。「今後、市場規模は縮小していくかもしれないが、工事の仕事はなくなることはありません。現在の本業は息子達に引き継ぎ、自分はこれまでの経験を活かした新しいビジネスにチャレンジしてみたいです」昔気質の職人である平岡氏の夢は尽きることがない。

(経営指導員 若宮豊)